星降る街のノヴェルレポートは4/10より始まっています
祝島は、その名に似合わず鬱蒼とした暗い森の島だった。
その昔、今の森の女王様が若かった頃、森の王様と仲睦まじかった頃、
人間によって森はよく手入れがされ、程よく光が入り、
人間たちは切った木で生計を立てていた。
10年前に王様が寿命で死んだ。
女王様は嘆き悲しんだ。子供たちがいくら慰めても泣いていた。
徐々に体調が悪くなり、更年期障害が出てきた。
「暑い、暑い!体が熱い!」「日光のせいだ!太陽のせいだ!」
とうとう女王様は木を切ることを禁じてしまった。
太陽の光を入れないようにするためだ。
人間たちは困った。どんどん貧乏になっていき、心が荒んだ。
しかし女王様は神様なので逆らえなかった。
やがて島全体が鬱蒼とした暗い森になり、月日が流れた。
女王様のほてりがひくことはなく、「暑い、熱い、暑い、ああ助けて、、、。」
といつも低い声で叫んでいた。
やがてドロドロと腐りながら死んでいった。
子供たちはついに女王様の亡骸を祝島の隣にほっぽりだした。
それが小祝島となる。
祝島は森林を適宜管理してやがて昔の明るさを取り戻した。
祝島の住民は小祝島の森の管理も適宜行った。
人間は誰も住んでいなかったが、木を伐採して光を入れた。
まるで森の女王を供養するかのように。