2020/6/22

<えらべなくて>馬島編

星降る街のノヴェルレポートは4/10より始まっています

「あなたはなぜ私に不可能な選択をさせるのです?」
 
「わしとて好きでお前を苦しめてるのではない。母のためじゃ」
 
どちらかの血を飲まねば治らん。さっ、選べ。どちらか選ぶのじゃ。」
 
ケンタウルスは迫られていた。どちらにするか迫られていた。
 
恋人にするか、妹にするか迫られていた。

森の女王は伏せっていた。馬神の油飲めば良くなると言われる。

最高級の馬油の持ち主はパルとララだった。

ケンタウルスの恋人パルが歩く先々に花が咲いた。

ケンタウルスの実の妹ララの歌声はうっそうとした森を明るくした

パルが23歳、ララが20歳。

2人とも最高の馬油の持ち主だ。2人は森の皇太子に取り押さえられた。

ララと20年間共に一緒にいた。

パルとはこれからずっと一緒にいようと約束している。

どちらかを助けて、どちらかを捧げろ。と言われる。

選べるわけがない。

「パルの代わりはいつかきっと現れるわ。ララを残してあげて。

あなたの妹よ。」ケンタウルスの母親が泣いてささやいた。

「ヒ、ヒーン!!」

グサッ

ケンタウルス後ろ足立ちするやいなや近くに立っていた兵士の槍に

自分の胸を差し出した。
 
バサッ!!
 
やがて息を引き取ったケンタウルス。
 
その身柄は悲しく横たわり、やがて馬島になった。